2022-09-16 私への贈り物 朦朧とした意識の中をただひたすらに歩き続ける。 道端で白髪の男が横になっている。 彼にはお金が無かった。 道の真ん中に坊主の少年がこちらを向いて座っている。 彼には腎臓が無かった。 道の先に――若い男が立っている。 彼には愛が無かった。 道を進む。 ふと、振り返る。 男と、手をつなぐその娘。 彼女には命が無かった。 道を進む。 私には涙が無かった。