徒然なるままに

フィクションの物語を書いたりする

私への贈り物

朦朧とした意識の中をただひたすらに歩き続ける。

 

道端で白髪の男が横になっている。

彼にはお金が無かった。

 

道の真ん中に坊主の少年がこちらを向いて座っている。

彼には腎臓が無かった。

 

道の先に――若い男が立っている。

彼には愛が無かった。

 

道を進む。

 

 

ふと、振り返る。

男と、手をつなぐその娘。

彼女には命が無かった。

 

 

道を進む。

私には涙が無かった。