徒然なるままに

フィクションの物語を書いたりする

実録2

これは夢だ。
――夢を見ていると自覚した明晰夢だ。

綺麗な風景、見慣れない世界。
私を楽しませてくれる人たち。

違う。足りない。そうじゃない。
これはお前の夢じゃない。俺の夢だ。
あそこはもう一度行こうそこじゃない寄り道するな時間の無駄だ寒いぞどこかに入れないのかこれは要らないあれを買え今何時だ足が疲れたどこか座れ高いから却下もっと写真撮れ同じとこ回るな待ち時間長いじゃないか何見たんだ寝るなお前は何しに来たんだ

あれ?これって本当に夢なのかしら――
これは夢だ。
あぁ、夢でよかった。

私への贈り物

朦朧とした意識の中をただひたすらに歩き続ける。

 

道端で白髪の男が横になっている。

彼にはお金が無かった。

 

道の真ん中に坊主の少年がこちらを向いて座っている。

彼には腎臓が無かった。

 

道の先に――若い男が立っている。

彼には愛が無かった。

 

道を進む。

 

 

ふと、振り返る。

男と、手をつなぐその娘。

彼女には命が無かった。

 

 

道を進む。

私には涙が無かった。

実録

ずんずん ずんずん 歩いてく

暗く広い道 スポットライトは私を照らす

腕時計を見る

そろそろ日が昇る

 

喉の渇きを癒して再スタート

足の疲れは感じるが まだまだ

国道から住宅街に入る

目的地までの時間を確認し 少し不安を募らせる

 

腹八分目で再スタート

しばし忘れた 足の痛みは増したよう

何度も地図を確かめる

道を間違えた? 別の道を探す

 

コンビニで涼んで再スタート

日差しが強い 汗が噴き出す

諦めるなと自己暗示

ここで折り返し

 

 

雨が降り始めた

 

見つけた公園で小休止

痛む足に問う

「諦める?」

 

 

光がさして再スタート

周りの景色に目もくれず

心の中で悩み続ける

許して 私を殺さないで

 

 

歩いてく 歩いてく 歩いてく

 

もうあの頃のように歩けない

 

目的地までの道が目的地になった

 

帰ろう

夜更かし

「君」を見続ける

辺りが明るくなってきた

「君」の血をペロっと舐めた

眠気は感じない

涙の味

眠ってる暇なんかない

 

君は賢い人だった

おかげで僕は救われた

しかし今はそれも苦しい

 

壁に寄りかかった 血まみれの君

何も見えない 聞こえない

 

君が僕の名前を呼んでも

君が連れて行かれても

僕は何もできなかった

 

ただ、君の血が残る

「君」という壁の前に跪くだけ

団結力

はっと目が覚めて 朝の3時

少し早いが構わない

今日は下剋上の日

 

わさび、からし、唐辛子

色んな味のチョコレート

クラスで集めたその数100個

 

下駄箱、教卓、ロッカー

色んな場所に忍ばせた

あいつが来るまであと5分

 

 

つまみ食いした委員長 苦しみだして

みんなの前で倒れた

 

 

委員長と たくさんのチョコが入ったカバンを

川に流した

 

そしてみんな 「計画」を忘れた

おとなりさん

ジリリリリリリリリリリリ

 

時刻は2時4分。

目覚まし時計のアラーム音が聞こえる――隣の部屋からだ。

2時と3時に1回ずつ、4時に2回。必ず1分でアラームは止まる。それが毎日続いている。

 

昨日アラームが鳴っている最中に部屋に入るとベッドには俺がよく知る美人な隣人ではなく大柄の男が横たわっていた。こいつは耳がイカレてるのだろうか。

 

今日のアラームはいつもと違い1分では鳴りやまない。俺はよし行くか、とあらかじめまとめておいた荷物を手に部屋を出た。

 

その後、「隣の部屋」から男女2人の死体が見つかったというニュースを見たときはひどく驚かされた。

とりあえず食べてみようの精神

SNSでよく連絡をくれる3人に聞いてみた。

一人は胸、別の一人は足、一番よく喋る彼女は目が一番おいしいと言っていたが、そのどれもあまりおいしいとは思えなかった。他にも首や指の先まで食べてみたが不発だ。

今回ばかりはヒトを主食としなかった先人たちが正しかったようだ。とりあえず残りの一部位を試してからヒト試食は撤退しよう。

3つのアカウントが、実は一人の所持するものだったことを知ったのはそれから数日後の事であった。