徒然なるままに

フィクションの物語を書いたりする

実録2

これは夢だ。――夢を見ていると自覚した明晰夢だ。 綺麗な風景、見慣れない世界。私を楽しませてくれる人たち。 違う。足りない。そうじゃない。これはお前の夢じゃない。俺の夢だ。あそこはもう一度行こうそこじゃない寄り道するな時間の無駄だ寒いぞどこか…

私への贈り物

朦朧とした意識の中をただひたすらに歩き続ける。 道端で白髪の男が横になっている。 彼にはお金が無かった。 道の真ん中に坊主の少年がこちらを向いて座っている。 彼には腎臓が無かった。 道の先に――若い男が立っている。 彼には愛が無かった。 道を進む。…

実録

ずんずん ずんずん 歩いてく 暗く広い道 スポットライトは私を照らす 腕時計を見る そろそろ日が昇る 喉の渇きを癒して再スタート 足の疲れは感じるが まだまだ 国道から住宅街に入る 目的地までの時間を確認し 少し不安を募らせる 腹八分目で再スタート し…

夜更かし

「君」を見続ける 辺りが明るくなってきた 「君」の血をペロっと舐めた 眠気は感じない 涙の味 眠ってる暇なんかない 君は賢い人だった おかげで僕は救われた しかし今はそれも苦しい 壁に寄りかかった 血まみれの君 何も見えない 聞こえない 君が僕の名前を…

団結力

はっと目が覚めて 朝の3時 少し早いが構わない 今日は下剋上の日 わさび、からし、唐辛子 色んな味のチョコレート クラスで集めたその数100個 下駄箱、教卓、ロッカー 色んな場所に忍ばせた あいつが来るまであと5分 つまみ食いした委員長 苦しみだして みん…

おとなりさん

ジリリリリリリリリリリリ 時刻は2時4分。 目覚まし時計のアラーム音が聞こえる――隣の部屋からだ。 2時と3時に1回ずつ、4時に2回。必ず1分でアラームは止まる。それが毎日続いている。 昨日アラームが鳴っている最中に部屋に入るとベッドには俺がよく知る美…

とりあえず食べてみようの精神

SNSでよく連絡をくれる3人に聞いてみた。 一人は胸、別の一人は足、一番よく喋る彼女は目が一番おいしいと言っていたが、そのどれもあまりおいしいとは思えなかった。他にも首や指の先まで食べてみたが不発だ。 今回ばかりはヒトを主食としなかった先人たち…